農業も日々進歩しています。
環境を考慮した農業が見直されており、将来に渡って持続的に農業ができるように、化学肥料や農薬の使用を控え、環境への影響を軽減した環境保全型の農業へと変わっていくことが予想されています。
有機農業とその安全性
環境保全型の農業の一つが、有機農業です。
有機農業では、化学合成農薬や化学肥料を使用しません。
有機農業の定義は、各国により異なりますが、日本では、JAS規格で定められているものが基準となっています。
日本では、天然由来の成分であれば、化学肥料と同じ成分の肥料の使用が認められています。
ある国では有機農業の作物でも、日本では通常の農作物として販売されることがあります。
有機農業により栽培された野菜は、オーストラリア、南米、アジアなどに多く、売上高も増加しています。
有機野菜は、有害な物質が少なく、ビタミンCや鉄といった栄養素が豊富に含まれています。
逆に抗ガン作用のあるフェノール系化合物が通常よりも多く含まれることもわかっています。
有機野菜はJAS規格に適合していなければならない
日本のJAS法では、有機農産物や有機農産物加工食品を販売する場合は、生産者や加工業者は、登録認定機関の検査や認証を受けることで、有機JASマークを付けることが義務付けられています。
つまり、日本ではJASマークがあれば、有機野菜・有機農産物であると考えていただいていいでしょう。
検査は、1年に1回、専門の検査員が農場や加工場へ赴き、現地で観察やインタビューを行います。
有機農業の基準に適合しており、今後も適合し得るかどうかを確認し、認証しています。
有機野菜は一般の野菜に比べると、ビタミンやミネラルが豊富だというデータはありますが、全ての有機野菜が栄養価に優れているわけではありません。
あくまでも安全性を重視した有機農業により生産された野菜だということです。
有機農業の環境への影響や問題点
有機農業は環境に良い影響をもたらすものと考えられていますが、よい面だけではありません。
土壌の流出、大気汚染などは、従来の農業と違いはありません。
農薬を使用しないことで、生物多様性に優れ、エネルギー効率も少しだけ高くなります。
しかし、メタンガス汚染による影響が大きいとされています。
窒素肥料を使用せず、化石燃料を燃やすことがないため、窒素酸化物が発生や二酸化炭素の排出量が少なくなっています。
窒素酸化物は、酸性雨の原因にもなっていますので、有機農業により環境に配慮した農作物の栽培が可能です。
有機農業では、これまでのデータにより収量が少なくなることがわかっています。
従来の慣行農業を有機農業に置き換えると、2割以上の収量低下が予想されており、どうカバーすべきかが問題となっています。