メロン栽培において、果実をネットや支柱から吊り下げる作業は「玉吊り(たまつり)」と呼ばれ、高品質なメロンを収穫するために欠かせない重要な工程です。この作業を適切なタイミングで行うことで、つるへの負担を軽減し、果実の形を整え、美しいネット形成を促すことができます。
本記事では、メロンの玉吊りを始めるべき最適なタイミングと、失敗を防ぐための具体的な方法、そして準備すべき資材について詳しく解説します。
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玉吊りの目的と重要性
メロンの果実は、受粉後に急速に肥大し、最終的には非常に重くなります。玉吊りには、主に以下の三つの重要な目的があります。
- つるへの負担軽減: 重くなった果実を直接つるだけで支えさせると、つるが折れたり、裂けたりする原因となります。玉吊りにより、果実の重さを分散させ、つるの健全な生育を助けます
- 果実の傷防止: 果実が地面や栽培資材、あるいは自身の茎に触れることで傷がつき、病害の原因となったり、ネットメロンの場合はネットの形成が不均一になったりする恐れがあります
- 果実の形とネットの均一化: 適切な位置で吊るすことで、果実が均整の取れた美しい形に育ち、ネットメロン特有の均一なネット(網目)が形成されやすくなります。
失敗しない玉吊りのタイミング
玉吊りを始める最適なタイミングは、果実の成長段階と、摘果(てきか:実を間引く作業)の直後が目安となります。

| 項目 | 目安となる時期 | 補足事項 |
| 大きさ | テニスボール大になった頃 | 重さによる負担がかかるのを防ぐため。 |
| タイミング | 摘果完了した直後 | つるへの負担を最小限に抑えます。 |
| 期間 | 交配から約55日前後 | 収穫までの約1ヶ月半、果実を支え続ける重要な役割を担います。 |
玉吊りに必要な資材
玉吊り作業自体はシンプルですが、適切な資材を選ぶことで作業効率と安全性が向上します。
| 資材名 | 用途 | 特徴と選択肢 |
| 玉吊り紐 | 果実を吊り上げるための紐 | 耐久性のあるナイロンひもなどが一般的 |
| メロンフック | 紐とつる(または支柱)を固定するフック | 片手で簡単に設置でき、作業効率が高い。 |
| 袋掛け資材 | 果実を覆うための袋 | 日焼け防止や病害虫から保護。 |
市販のメロンフックは、つるにクリップで固定し、紐を引っ掛けるだけで設置できるため、特に多くのメロンを栽培する場合に推奨。
失敗しないための吊り方と注意点
玉吊りの方法にはいくつかの流儀がありますが、失敗を防ぐための基本的な原則と注意点があります。

吊り方の基本
果実を吊るす際は、単に重さを支えるだけでなく、果実の成長方向を考慮することが重要です。
- やや上向きに吊るす: 果実が重力で下に引っ張られる力を利用し、つるへの負担を最適化しつつ、果実の形を整えます。
- ネットメロンの場合: 茎をT字型に美しく残したい場合は、茎が水平になるように吊るす方法も用いられます 。これは、果実の重みで茎が曲がるのを防ぐため。
同時作業:袋かけ
玉吊りを行った直後に、果実を専用の袋で覆う「袋かけ」を行うことが推奨されます。

特に夏の強い日差しは、メロンの果皮にダメージを与え、品質を低下させる原因となります。袋かけは、この日焼けを防ぐ重要な役割を果たします。
継続的な管理
玉吊りは一度行ったら終わりではありません。メロンは収穫まで肥大し続けるため、紐が緩んだり、果実が下がってきたりすることがあります。
- 緩みのチェック: 定期的に紐の緩みやフックの位置を確認し、果実が地面や他の資材に触れていないか確認します。
- 再調整: 緩みや下がりが見られた場合は、すぐに紐を締め直したり、フックの位置を調整したりして、果実を適切な高さに保ちます。
まとめ
メロンの玉吊りは、摘果直後または果実がテニスボール大になったタイミングで、遅滞なく行うことが成功の鍵です。
市販のメロンフックとナイロンひもを準備し、果実をやや上向きに吊るすことを基本とします。また、玉吊りと同時に袋かけを行うことで、日焼けを防ぎ、より高品質なメロンの収穫を目指しましょう。
適切な玉吊り作業を通じて、つるの健康を保ち、見た目も美しい、美味しいメロンを育て上げてください。
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